我が国は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言し、2021年4月には、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。地球温暖化対策計画には、こうした削減目標の裏付けとなる対策・施策が記載され、目標実現への道筋が描かれています。2025(令和7)年2月18日、計画が改定され、2040年度末までを計画期間とする新たな地球温暖化対策計画が閣議決定されています。
削減目標
改定された地球温暖化対策計画では、引き続き、「2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦し続けていく。」とするとともに、新たに、2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路にある野心的な目標として、「2035年度、2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減することを目指す。」とされました。
2035/2040年度目標は、パリ協定に基づく新たな日本のNDC(国が決定する貢献)として、改定計画の閣議決定と同日に、気候変動に関する国際連合枠組条約事務局(UNFCCC)に提出されています。

(出典:地球温暖化対策計画の概要(内閣官房・環境省・経済産業省))
排出量の多くを占める二酸化炭素(CO2)について2040年度における目標を見ると、エネルギー起源CO2は約3.6億~3.7億トン(2013年度比70~71%減)にすることを目標とし、部門別には産業部門(工場等)が約1.8億~2.0億トン(57~61%減)、業務その他部門(商業・サービス・事務所等)が約4000万~5000万トン(79~83%減)、運輸部門(自動車)が約4000万~8000万トン(64~82%減)などとしています。また、非エネルギー起源CO2※は約5900万トン(29%減)にすることを目標としています。(他の温室効果ガスの目標・目安は別紙を参照)
※ 工業プロセス及び製品の使用、廃棄物(焼却等)、その他(間接CO2)に伴う排出。
(出典:地球温暖化対策計画の概要(内閣官房・環境省・経済産業省))
目標達成のための主な対策・施策
2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路を弛まずに着実に歩んでいくことは、決して容易なものではなく、国、地方公共団体、事業者、国民一人一人に至るまでの全ての主体の参加・連携を確保しつつ、対策を講じていく必要があります。
事業者は、計画改定前に引き続き、以下の役割を担うことが求められています。

削減目標の達成に向けた対策・施策は、地球温暖化対策計画と同日に閣議決定されたエネルギー基本計画及びGX2040ビジョン※と一体的に実施することとされ、その主なものは国(内閣官房・環境省・経済産業省)の資料において下表のとおり示されています。
※ GX(Green Transformation)は、経済・社会、産業構造を、クリーンエネルギーを中心としたものに移行させ、社会システム全体を変革する取組。GXへの投資が見通しやすくなるように、2025(令和7)年2月18日、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)を改訂し、「GX2040ビジョン」が閣議決定されました。

(出典:地球温暖化対策計画の概要(内閣官房・環境省・経済産業省))
事業者は、産業部門、業務その他部門、運輸部門等の各分野に求められる取組を進めるとともに、担うべき基本的役割を踏まえ、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行、Scope3排出量※削減を含むバリューチェーン全体の脱炭素化などの分野横断的な取組に力を入れることが重要になります。
※ 直接排出量(Scope1)、エネルギー起源間接排出量(Scope2)以外の組織のサプライチェーンにおける事業活動に関する間接的な温室効果ガス排出量。
まとめ
✔ 新たな地球温暖化対策計画において、2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路にある野心的な2035/2040年度目標(2013年度比60%減、73%減)が位置付け。
✔ 2050年ネット・ゼロの実現に向けた直線的な経路を弛まずに着実に歩んでいくことは、容易なものではなく、全ての主体の参加・連携を確保しつつ、対策を講じていく必要。
✔ 事業者は、各分野に求められる取組を進めるとともに、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行、バリューチェーン全体の脱炭素化などに力を入れることが重要。
【関連情報】
ミヤマの取組
廃棄物処理に伴うCO2排出は、ミヤマにとってScope1排出量に当たるだけでなく、お客様(排出事業者)にとってScope3排出量に該当します。バリューチェーン全体の脱炭素化を進めるために、ミヤマは独自の発想と技術でCO2削減に取り組んでいます(別添CO2削減の取組例参照)。
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