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旧ピジョンポスト

ピジョンポスト Vol.19

2000.10.01

廃棄物を出さず低コストで無害化

uv.jpg 今回は、ミヤマ環境保全事業部が地層浄化技術をもとに開発した地下水及び廃水・廃液処理装置『フォーサイトUV』をご紹介します。紫外線と酸化剤に加え、特殊な鉄触媒を使うことで、有機物を効果的に分解・無害化します。


今回はこの『フォーサイトUV』について、開発に携わってきた環境保全事業部員に訊きました。

 

-フォーサイトUVの開発を思いついたきっかけは?

 

汚染された地下水の処理にあたっていて、従来のように有機物を活性炭に吸着し、これを産業廃棄物として処理する、という手法ではなく、処理現場で一気に無害化してしまう方法はないだろうか、また、処理スピードとコストと環境負荷を低減することは出来ないだろうか。これをテーマに、約3年前から実験をスタートし、1年半前に基本的な手法を完成させました。 この手法をもとに、UVと過酸化水素を組み合わせたテストをスタートさせ、UV技術を持つ企業と共同で、UVにオゾン、イオン状の鉄、電気分解法の3つの候補技術を組み合わせた実験を行いました。 しかしオゾンを使うと鉄を含有した地下水には酸化力が強すぎてうまくいかないのです。また、イオン状の鉄を使った場合は、スラッジが発生してしまい、廃棄物を出さない現地処理、というポリシーから外れてしまうのでこれもだめ。電解法については、思ったような効果が認められませんでした。

 

-地下水処理に限っていえば、どの技術も壁に当たってしまったわけですが、鉄触媒を使う、という手法にはどのようにして行き着いたのでしょう。

 

鉄触媒を利用する、というのはある意味逆転の発想といえるかも知れません。というのも、普通、UVで地下水処理を行う際には、まず液中の鉄を取り除くことからスタートするのです。しかし今回は逆に、UVと過酸化水素に鉄触媒を組み合わせることによって、既存技術を凌駕する処理手法を見つけることが出来たのです。
様々な実験を繰り返しデータを取得する中で、若い技術者の「これは鉄触媒のせいかもしれないですよ」との一言で、鉄触媒に注目した実験を開始しました。その結果、一定の条件で処理液を調整し鉄触媒に通液すれば通常考えられない速さでトリクロロエチレンが分解することが判明しました。これが今回の開発です。先入観を捨てること、現場でしか得られないヒントを見逃さないことが必要だと思いました。

 

-鉄を使った処理技術は幾つかあると思いますがどのような点が優れているのですか?

 

過去にも鉄触媒を使った処理技術はありましたが、フォーサイトUVの場合は、安定的に鉄触媒を供給できる優れた溶解特性を持つ微細な構造の鉄溶媒を導入したことと、処理液を一定条件に調整して通水する前処理技術により、反応速度が格段に速くなり、安価で高い処理能力が得られました。この鉄触媒を用いた処理プロセスについては現在特許申請中です。.


uv_flow.gif

 

-フォーサイトUVは、もともと地下水処理を主眼として開発された装置ですが、それ以外の分野での応用も期待されるようですね?

 

はい、有機物を分解するという処理原理から地下水に限らず、COD・BODの処理を対象とする広い分野で応用が可能と考えています。

 

-具体的には?

 

COD対策の例を挙げますと、メッキ・プリント基板・電子部品洗浄等の製造工程から出る廃液は、工場に既設の廃水処理設備によって処理され、最終的に放流されるわけですが、最近は、地方自治体の条例などによってCOD規制が厳しくなっている地域が増加しています。そうした場合、既存排水処理設備にフォーサイトUVを増設するだけで、規制値をクリアする水質まで持っていくことが出来るわけです。また、産業廃棄物として処理を委託している、レジスト剥離液・メッキ液・実験廃液といった濃厚廃液を、工場内で無害化してしまう、といった応用例も考えられます。さらに、フォーサイトUVと凝集沈澱装置等の組み合わせによって重金属を含んだ廃液の処理回収も可能となります。これによって、産業廃棄物処理コストを削減することができます。また、将来的にはダイオキシン類等の難分解性物質への応用も検討しています。

 

-なるほど、地下水処理に限らず、多方面に向けた可能性を持った装置といえそうですね。

 


gamen1.jpg はい、フォーサイトUVをユニットとして排水処理プラントに組み込むとすると、処理テストをもとに処理水量に合わせた装置の設計や排水処理トータルのコストを計算する必要があります。これらの技術については現在、環境コンサルティング事業部と連携をとりながら進めています。

 

-フォーサイトUVは地質事業の現場から発想されたミヤマ独自の技術による装置ですが、今後の技術開発予定をお聞かせ下さい。

 

有害物を無害化するという観点から、現在ガス状のトリクロロエチレン等を紫外線及び光触媒を用いて分解する技術を大学との共同研究により開発中です。また、いままで培ってきたこれらの処理技術を原位置処理技術に応用し、より低コストで地層を浄化する方法を開発してゆきたいと思っています。地層浄化技術はまだまだ発展の余地があると考えています。

 

フォーサイトUVの『フォーサイト』には、『先見性のある、次世代の、一歩進んだ』という意味があります。環境の未来をご提案する装置としてより多くのお客様に受け入れられること、また、環境保全事業部の今後の技術開発に期待しています。



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