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旧ピジョンポスト

ピジョンポスト Vol.23

2001.06.01

「白馬仰山塾」参加レポート 講演「情報社会と環境問題」 月尾嘉男塾長

hakuba02.jpg「白馬仰山塾」は月尾嘉男塾長(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)を中心に「環境と情熱」がキーワードとなる21世紀の地域の展望を得るため、白馬の自然に関心を持つ人々が未来を語る会です。白馬村、小布施町、信州新町等で講演とアウトドアスポーツ(クロスカントリースキー、登山、カヌー)をとおして、「地域が変わりはじめた」を合言葉に展開。信州新町で行われた今回は6回目の開催となります。

講演「情報社会と環境問題」― 月尾嘉男塾長

今回は情報社会がもたらす環境側面のひとつの問題についてお話しします。この地球上には約5000万種から1億種の生物が生存しています(例えば人間は白人、黒人、黄色人種も生殖活動によって子孫を残せるということで1種とカウントします)。そのうち人間がわかっている種類は200万種といわれていますが、生物がどうしてこんなに種類が多いかというと生きのびやすいから、つまり様々な環境に適応するためです。これは生物から見たことで、人間から生物の多様性はまた別の意味を持っていて、人間が利用できる種が多いほど環境変化に対応して生き残る種が多く、我々人間にとって有利であるわけです。
ところが今、地球の環境が大変なスピードで変化しています。我々が化石燃料を燃やして排出しているCO2の量は年間63億トン。木を燃やして発生する量は16億トン。あわせて79億トンですが、そのうち海洋の吸収が23億トン、森林の吸収が23億トン、差し引き33億トンのCO2が年々増加し続けています。このペースで温暖化が進むと100年後には平均気温が5.8℃上昇する可能性があります。

その影響はすでに現れていて海水面の上昇が始まっています。昨年、中国の河北省のある地域では11cm海面上昇した所があります。海面は一様に上昇するのではなく地域差があるのです。これを助けてくれているひとつが森林によるCO2の吸収ですが、その森林は地球上で1日にゴルフ場500ヶ所のスピードで消失しています。また、オゾン層の破壊という問題があります。ネッシーで有名なイギリスのネス湖では魚が日焼けして皮膚ガンになり死んでいます。こうした環境変化に適応できない種が絶滅し、ひとつの種の絶滅による連鎖反応で加速度的にそのスピードが増しています。生命絶滅の速度は15分間に1種類、1年間で 35000種と言われています。もちろん自然災害によるものも含まれていますが、かなりの部分は人間活動が原因です。
ここまではかなり長い前置きですが、今世界で急速に進んでいるIT革命が実は前述した環境界における種の絶滅と同じ問題を含んでいることをお話しします。
人間界には他生物と違う多様性があります。時間、人種、民族、性別、年齢、障害が作りだす文化です。文化の一番の基本は「ことば」ですが、今世界には 6000くらいの「ことば」があります。ところがこれから100年後には300から600くらいになるといわれています。世界のインターネット人口の 53.7%が英語を母国語としており、すべてのホームページの実に84.3%が英語による情報発信となっています。情報化社会が進むほど英語が圧倒的な力を持ち、職業などに有利な大言語である英語が選ばれ、時には強制もされると世界が均一化されていきます。「ことば」が消えると、地域固有の文化、民族性が失われ、文化の活力もなくなってしまいます。自然界の多様性と同じく人間界の文化の多様性が人間の種としての適応性と見たとき、これは非常に危険なことといえます。IT社会は世界とコミュニケーションできる素晴らしい文化ですが、文化の均一化という危険性も考えながらITを活用しなければならないと思います。

今回の講演は中村信州新町町長をはじめとし、長野県内外から約50名の参加者のもと開催されました。タイトルからIT社会がもたらすエネルギーや環境負荷の功罪について語られるのかと想像していたのですが、今まで考えても見なかった、言語の消失による文化の均一化、それによる人間の多様性がもたらす種としての適応力の低下の危険性という、まったく別の切り口から情報化社会を見ることができました。少数言語の消失は、環境界における自然災害による種の絶滅と同じ部分もあるとは思いますが、ITという人間活動による部分は私たちの努力によって回避することができるはずです。ユネスコが今年から始めた「人類の口承および無形遺産の傑作の宣言」は21世紀の重要な環境活動なのかもしれません。
機会がありましたら、こうした有意義な講演に参加し、レポートしたいと思います。


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