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旧ピジョンポスト

ピジョンポスト Vol.52

2007.04.01

350年の紙漉きの伝統を守る人と風土の調和。 内山紙協同組合理事長 阿部一義氏

ph01-52-2.jpg春には一面の菜の花が私たちの目を楽しませてくれる、長野県飯山市瑞穂。映画「阿弥陀堂だより」の舞台になったことでも知られるこの瑞穂で350年以上続く手漉き和紙の伝統を守り続ける内山紙協同組合の理事長阿部一義さんにお話を伺いました。


「和紙の原料になるのは、楮(こうぞ)の木の皮。昔はこの辺りに自生していたものですが、最近では自分の畑で栽培しています。楮は5月頃新芽が出始め、 11月には2~3メートルも育ちます。11月には収穫をして、この楮を大釜で煮て、木から皮を剥がすことから紙作りは始まります。軒下などで乾燥させてから、楮の皮を雪の上に広げ、上から雪をかけて日光に晒します。上にかけた雪が溶けるとまた雪をかける、という作業を繰り返すことで、皮が白くなり、また繊維も柔らかくなります。雪が溶けるときのオゾン効果と紫外線が材料を漂白する効果があるんです。楮は、三椏(みつまた)や雁皮(がんぴ)に比べて繊維が長いので、繊維同士がしっかり絡み合うことで丈夫で長持ちするという特徴があります。楮100%の内山紙は通気性、通光性・保湿力にも優れていますから、昔から障子紙として広く使われてきたんです。官公庁で使われる手漉きの台帳用紙は、その丈夫さから大部分が内山和紙なんですよ。」


飯山市は、日本でも有数の豪雪地帯。冬には2メートル以上の積雪を記録することもあるこの地方では、紙漉きは冬場の仕事として貴重な収入源でした。


ph02-52.jpg「昔から2月頃の一番寒い時期に漉いた紙が一番いいと言われています。確かに水か冷たいときの方が紙の出来はいいようですね。大雪と厳寒のこの地の気候が丈夫な内山紙を作るのに適していたということですね。
新潟市の白根の大凧合戦の凧は20年来うちの和紙を使ってくれているんです。凧同士で川をはさんで合戦して、川に落とすんですよ。だから何よりも丈夫で、自然に帰る素材でなければいけない。」

阿部さんのお宅には、撚った和紙を使ったお茶托やお菓子盆、間仕切りなどの製品が沢山あります。お宅の蛍光灯のシェードも奥様お手製の和紙を使ったものが。「紙しかないですから...」と微笑まれる阿部さんですが、紙に対するご家族の愛情が伝わってきます。「毎年、地元の小学生が紙漉きを体験しに来て、その時に漉いた紙で自分たちの卒業証書を作っています。子供たちも喜んでくれて、御礼の手紙も貰ってるんですよ。嬉しいですね。」


その土地にあるものを使って、その土地の気候風土を生かして生産する。森林伐採の必要もなく、環境に与える負荷もない。和紙作りは、まさに環境循環の中での生産活動といえるでしょう。
今年は、まれにみる暖冬のため取材にうかがった2月上旬でも積雪はゼロ。楮の雪晒しが出来ず、昨年晒したものを使って、紙漉きをしていらっしゃるとのこと。350年間、自然の中で営まれてきた和紙作りが途絶えてしまえば日本の貴重な文化の一つが消えてしまうことになります。地球温暖化は思いもよらぬ所でも影響を及ぼしています。和紙作りが地元の産業としていつまでも続いていくことを願ってやみません。


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